彼岸花の咲く頃に
『人間以外のものがしでかした悪さ』

言うまでもない、それは姫羅木さんと同じく化け狐の事を指しているのだろう。

「姫羅木さんの用事って…その『悪さ』の後始末?」

「さて…どうかの?」

ヒョイと俺の脇をすり抜けて。

彼女はいつものように、しゃなりしゃなりと歩き出す。

「案外悪さをしでかしたのはわらわの方で、わらわは追う立場ではなく追われる立場やもしれぬ」

肩越しに振り向き、意味深な笑みを浮かべる姫羅木さん。

その表情に、身震いするほどの妖艶さを感じた。

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