彼岸花の咲く頃に
俺の表情から怯えを感じ取ったのか。

「あはははははっ!」

姫羅木さんは屈託なく笑った。

「何じゃ何じゃ!男の癖に恐れ(怖がり。方言)じゃのぅ!」

「な…」

彼女にからかわれたのが気恥ずかしくなり、俺は仏頂面でそっぽを向いた。

そんな俺の顔を覗きこむように、姫羅木さんは悪戯っぽく笑う。

「狐の話を鵜呑みにするな?化かすのは十八番じゃからのぅ」

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