彼岸花の咲く頃に
何で彼女が謝るんだろう。

「…それはどういう…?」

訊ねようと女性の方を見ると。

「……?」

彼女は店内を見回しながら、鼻を鳴らしていた。

スンスンと、何かの匂いを嗅ぎ取るかのように。

「どうか…しちゃったんですか…?」

「ねぇ、店員さん」

問いかけには答えず、女性は俺の顔を見る。

「この近辺に神社やお寺はあるかしら?」

「えーっと…」

小さなお堂程度なら所々に点在している筈だけど、大きな神社や寺となると、この近くには存在しない。

もう少し山奥に入らなければならないだろう。

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