彼岸花の咲く頃に
「とにかく」

姫羅木さんが俺の鼻っ面を指差す。

指差すと同時に、獣耳がピコッと立った。

「見知らぬ客には迂闊に近づかぬ事じゃ。全く。童(わっぱ)でもその程度の事は知っておろうに」

「…すみません…」

シュンとする俺の脇をすり抜け、姫羅木さんは惣菜のコーナーからパックの稲荷寿司を一つとって食べ始める。

勝手知ったるこのスーパーだ。

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