彼岸花の咲く頃に
姫羅木さんのような狐霊は善狐…中でも稲荷神の神使である『御先稲荷』であり、神に仕えるもので当然、妖怪ではない。

野狐と善狐は非常に仲が悪いとされ、姫羅木さんとアッコさんのように、縄張りを巡って争う事も珍しくないのだそうだ。

特に凶暴なものだと、人を謀り、食らい、争いの元凶となる。

日本では九尾の狐あたりが有名だ。

「千春の会った狐が、そこまで凶暴な奴でない事を祈るがのぅ…」

稲荷寿司を食べ終わり、姫羅木さんはスカートのポケットから小銭を取り出す。

「…前々から思っとったんですけど」

俺は彼女の顔を見た。

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