彼岸花の咲く頃に
「姫羅木さんは、このお金どこから手に入れて来とるんですか?」

当然化け狐だから仕事をしている訳ではないだろう。

かといってアッコさんのように、石ころや葉っぱを使って俺を化かした事は一度もない。

彼女が出すのは、いつも本物のお金だ。

ならば化け狐である彼女が、一体どこからお金を手に入れてきているのか。

「なぁに」

姫羅木さんはニンマリ笑った。

「わらわの棲みかにしておる神社があってのぅ。そこの賽銭箱から、チョチョイとな」

「賽銭泥棒じゃが!!!」

思わずでかい声でツッコむ。

善狐どころか、とんだ不届き狐だ。

< 53 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop