彼岸花の咲く頃に
「馬鹿を言うでないわ、千春っ」

心外とばかりに姫羅木さんは反論する。

「神社に参拝してくる者達は、みな神社に祀られておる稲荷…即ちわらわに賽銭を投げておるのじゃ。つまり賽銭はわらわのものであろ?わらわが使って何が悪い?ん?」

「……」

そう言われるとその通りのような気がして、言い返せなくなってしまう。

「ほれ見てみぃ。わらわの言う方が正しいであろ?どうじゃ、どうじゃ?」

勝ち誇ったような顔をして、姫羅木さんは鼻で笑った。

何だか言いくるめられたような気がしないでもない。

神の使いの善狐というよりは、口の達者な悪戯狐という感じだ。

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