彼岸花の咲く頃に
一通り説教して、説明して、稲荷寿司を食べて。

「さてと」

姫羅木さんは踵を返した。

「今日も馳走になったの。わらわは帰る」

しゃなりしゃなりと歩き出す姫羅木さん。

一体何をしに来ているのか、よくわからない人だ。

と。

そんな俺の思考を読んだかのように、彼女は突然立ち止まって振り向く。

「…何ですか?」

本当に思考を読まれたのか?

頬の筋肉をひくつかせ、奇妙な愛想笑いを浮かべる俺。

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