彼岸花の咲く頃に
「ではの」

言いたいだけ言って、しゃなりしゃなりとスーパーを出て行く姫羅木さん。

いつもの呑気な緩々ぶりと違い、今日はその華奢な背中が、幾分頼もしく見えた。

「明日も稲荷寿司、準備して待っとるけぇね」

笑顔でそんな声をかけると。

「おぅ」

彼女は顔だけをこちらに向け、目を細めて笑うのだった。

< 59 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop