彼岸花の咲く頃に
スーパー内は、シンと静まり返っている。

時折前の道路を、車のライトが照らし出す。

交通量なんてたかが知れている。

もうしばらくすれば、虫の声以外聞こえなくなる。

夏は大音量の蝉の鳴き声とのギャップが激しくて、夜は極端に静寂に包まれているような気がしたものだけど、秋は昼夜を問わずに静かな感じだった。

まぁもっとも、最近は『珍客』が来訪するようになったせいで、静けさもあまり気にならない感じだが。

夜は姫羅木さん、何してるのかな。

月見でもしながら、夜更かしでも楽しんでいるんだろうか。

そんな事を思いながら、店の入り口から見える夜空の月を見ていると。

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