彼岸花の咲く頃に
やがて、悪狐の妖気によって俺は完全に堕ちる。

無意識下で、体がフワリと浮かび上がるような感覚があった。

悪狐が九尾で俺の体を絡め取ったまま、跳躍したのだ。

いつも勤めているスーパーが、一跳びで小さく遠ざかってしまうほどの跳躍力。

まさしく人智を超越した化け物。

九尾の狐によって囚われの身となった俺の命もまた、風前の灯火となったのだ。

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