彼岸花の咲く頃に
悪狐は立ち上がり、俺の方に向き直る。

その表情はいたって穏やか。

そりゃあそうだろう。

奴から見れば、俺なんて鼠かなんかの小動物と同じだ。

殺気立つ必要すらない。

「監視?私がお前を監視する必要があると思う?店員さん」

小馬鹿にした口調で、俺を嘲る悪狐。

「私はね、『踊り食い』が好きなの」

…その台詞に、戦慄した。

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