彼岸花の咲く頃に
じり、と。

悪狐が一歩踏み出す。

「さぁて…目を覚ましたなら食事を始めましょうか。もう誰の邪魔も入らないわよ?あのクソ女も、もう助けには来ない」

「くっ…」

そうだろうな。

姫羅木さんはもう助けには来てくれないだろう。

この悪狐は、姫羅木さんの倍以上の実力があるんだ。

戦意喪失も止むを得ない。

多分、ビビッて立ち上がれなくなっているんだろう。

それでも。

「やかましいわ!腐れ狐!!」

姫羅木さんを悪く言われるのは、何だか無性に腹が立った。

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