彼岸花の咲く頃に
「もう少し速くいくわよ」

悪狐の言葉と同時に、九尾のうちの一本が『消えた』。

直後。

「ぶふっ!」

思考さえも消し飛ばされるような、痛烈な打撃が俺の顔面を捉える!

今度は鼻血程度じゃ済まなかった。

体が大きく後方に引っ張られるような感覚。

受け身すら取れないまま、俺は石畳に叩きつけられる!

「う…ぐぁ…がぁ…!」

口の中に鉄錆の味。

頬にまで、鼻血が大量に垂れてくる。

ズキズキと、鈍い痛みが走る。

「いい事?店員さん」

腕組みして悪狐が笑う。

「私はあのクソ女とは、実力も性質も違うの。言葉を選ぶ時は細心の注意を払いなさい」

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