彼岸花の咲く頃に
まただ。

…尻尾に殴られた鼻が痛い。

この出血量だと、鼻骨が絶対に折れている。

鼻骨と同時に心も折られた気がする。

なのに、それなのに。

「おっどりゃあ…っ…」

俺は立ち上がる。

悪狐が言った、『クソ女』という言葉。

それが姫羅木さんを指している言葉だと思うと、先程同様無性に腹が立った。

「訂正せぇ…姫羅木さんは…クソ女じゃないど…訂正せぇ!腐れ狐!」

「よし、決めたわ」

悪狐の背後で、九尾の先端が全て俺の方を向いた。

「店員さん、お前は串刺しの刑」



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