彼岸花の咲く頃に
白い影は俺を包み込む。

…柔らかくて、温かくて、心地よい感触。

その感触に抱かれたまま、俺は俺の意思とは関係なく、九尾の攻撃から遠ざけられる!

「何をボーッと突っ立っておるのじゃ、千春」

心地よい感触に包まれたまま、俺はそんな聞き慣れた声に呆れられた。

…その感触は、紛れもなく姫羅木さんの尻尾に包まれた感触だったのだ。

「姫羅木…さん…」

まさか、来てくれるとは思わなかった。

彼女が駆けつけてくれた事に、俺は歓喜とも驚愕ともつかない感情に囚われる。

「おお、酷くやられたのぅ…少し我慢できるかの?」

姫羅木さんは俺から尻尾を離す。

「悪狐を懲らしめたら、手当てしてやる」

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