彼岸花の咲く頃に
言うなれば一尾一殺。

姫羅木さんの四本の尾が、悪狐の四本の尾を断ち切る。

まるで竜が蛇を屠るが如く。

圧倒的な戦力差で、姫羅木さんの尾は悪狐の尾を無力化していった。

「おぉ、よしよし」

満足げに頷く姫羅木さん。

「ようやく昔の勘が戻ってきたわ。尻尾を上手く扱えるようになってきた」

「馬鹿な!」

悪狐はヒステリックに叫ぶ!

そりゃあ叫びたくなるだろう。

彼女と同じ疑問を、俺も抱いていた。

…化け狐にとって、尻尾の数はそのまま実力。

それでいくと、四尾の姫羅木さんは、九尾の悪狐には絶対に敵わない筈なのに、どうして…?

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