彼岸花の咲く頃に
愕然となる悪狐を前に、姫羅木さんは腕組みして、やれやれといった表情になる。

「やはり知らなんだか…全く…これだから九尾もあるヒヨッコ狐は…」

「九尾もある!?ヒヨッコ狐!?」

姫羅木さんの発言に、悪狐はまた目を見張る。

無理もない。

九尾の狐とは、化け狐の最終形態。

つまり最強の姿だ。

その九尾を持つ悪狐をつかまえて、ヒヨッコとは…。

「知らぬなら教えてやるわ」

姫羅木さんは言う。

「お主が最強と思うておる『九尾』とは、化け狐の一形態に過ぎぬ。化け狐は九尾になると、それ以上は目立った成長の兆しを見る事は出来ないが、更に成長すると尾の数が減っていくのじゃ」


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