彼岸花の咲く頃に
「ふむ」

悪狐の問いかけに、姫羅木さんは困った顔をした。

「それが、よぅ分からんのじゃ。お主よりも力量が上なのは間違いないのじゃが、既に長く生き過ぎて、わらわは年齢をよく覚えとらんでな…尻尾が四本という事は、天狐なのかもしれん」

「……」

唖然とする。

何とも拍子抜けする返答。

自分の位すらわからないお稲荷様とは前代未聞だ。

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