彼岸花の咲く頃に
「こっ…のっ…」

悪狐は目をひん剥いた!

「ふざけるなぁぁあぁっ!」

感情の赴くままに、彼女は姫羅木さんに襲い掛かる。

大事な尾を半分近く断ち切られ、愚弄され。

彼女が九尾の狐としての誇りのようなものを持っているとすれば、既にズタズタにされている事だろう。

己こそ最強と自負していたのに、それをいともあっさり覆される屈辱。

理解できないでもない。

しかし。

「たわけが」

姫羅木さんの眼にもまた、強い光が宿った。

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