最後の大好きな人
あなたは、最後までわたしの傍にいることができなかったのを、悔やんでいるんだよね?
そんなの、気にしてないのに…。
だって、わたし知ってたんだもん。
病院の前まで来て、
毎回わざわざお花を持ってきてて、
それでも中に入る勇気がなくて、
わたしの病室の明かりが消えるまで、そこにいてくれたこと。
消灯した後、こっそりとあなたが帰っていく後ろ姿を、わたしは毎日見つめてたんだよ。
きっと会ったとしても、
あなたはわたしを腫れ物を扱うように接していたし、
だんだんと弱っていくわたしを、見ていられなかったんだよね?
でもね、それは、お互い様だったんだよ。
わたしも、無理に笑うあなたを見ているのは辛かったから。