最後の大好きな人


あなたは、最後までわたしの傍にいることができなかったのを、悔やんでいるんだよね?










そんなの、気にしてないのに…。







だって、わたし知ってたんだもん。







病院の前まで来て、
毎回わざわざお花を持ってきてて、






それでも中に入る勇気がなくて、







わたしの病室の明かりが消えるまで、そこにいてくれたこと。







消灯した後、こっそりとあなたが帰っていく後ろ姿を、わたしは毎日見つめてたんだよ。






きっと会ったとしても、
あなたはわたしを腫れ物を扱うように接していたし、






だんだんと弱っていくわたしを、見ていられなかったんだよね?






でもね、それは、お互い様だったんだよ。






わたしも、無理に笑うあなたを見ているのは辛かったから。
< 4 / 10 >

この作品をシェア

pagetop