丸腰デパート・イケメン保安課
「会ったばかりですよ?!初対面!何にもわかんないのにいきなり結婚って!唐突すらも越えて、もはやドッキリクラスですよっ!隠しカメラ探しますよ?!」

「あら〜バレちゃったよ?ハイッ撤収!」
ビジュアル系が手を叩く。

マジでドッキリ演出装うなぁっ!


「からかってるなら止めてくださいねっ!」
「からかってない」

主任は普通に応えた。

「履歴書の写真を見て一目惚れした」
履歴書の写真?

「かわいいなぁって思ったんだ…俺のタイプの生き写しだった」
いや、生き写しって…生きてますから、二十年。

「もう、この人しかいないと信じた…運命だった。俺の今までの人生の…光に見えた」
……そこまで?

「今までの苦しい人生…腹違いの兄にいじめられ家を飛び出し、日雇いバイトで食いつなぎ、夜は公園で段ボールに包まって眠り…」

え?…この人…そんな人生を…?

「アメリカンドリームを夢見て偽造パスポートで海外へ行ったはいいが、マフィアに騙され腎臓を売り、得意のギターで金を貰い、犬三匹と生活していたが、小船に乗った貴婦人が実の母だという真実が発覚し…」

主任!!…平和な日本にそんな人が…!


「70%は嘘だろう、笙」
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