丸腰デパート・イケメン保安課
「先輩、前より目つき悪くなりましたね」

主任の言葉に納得。
暴力団の人かと思ったもん。

「仕方ねぇだろ?今はマル暴なんだよ。澄んだ目であいつらと渡り合えるか?」
マルボウ?あいつら…って何?

「マル暴?これはまた適任部署に」
「うるせぇな、どうせ俺は人相悪いよ」
更科さんは、主任の胸を軽く拳で叩いた。
仲良さそう。

でも、人相悪いとマルボウ向きなのか?…向きってどの方向を向く意味?

話がさっぱりわからん!
警察用語?

「主任。僕、お茶入れましょうか?」
トレイを抱えた貢さんが、二人の間に立った。

そうだ。
私、ぼーっと眺めてたけど立ち話も何だよね。

主任は、貢さんの提案を笑って断った。

「お茶はいい、少し先輩と出て来る」
え?出て行くの?

更科さんとアイコンタクトを交わした主任は、オフィスを出て行ってしまった。

…何だろう。

やっぱりいつもの主任じゃない。
私達から更科さんを離したい…みたいな?

話も聞かれたくない雰囲気だったし。

あんなよそよそしい主任は初めて。
どうしちゃったの?一体。

「やっぱり…まだ引きずってるんだろうな」
家紋さんが呟いた。

引きずってる事?
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