丸腰デパート・イケメン保安課
「ただ、桜田さんに笙を知ってもらいたいだけですから。話を聞いたからと言って、態度や接し方も変えないで下さいね?笙が傷付きますから」
「大丈夫です!」

主任は主任だし、私は私だから。

今まで通り変わらず、ツッコミまくれるから!
安心して下さい。


「僕、コーヒー入れてくるね」

貢さんが給湯室へと行った。
栗田さんは、敏腕課長を抱きながら、私の隣に椅子を持って来て座る。

その中心で、家紋さんは深呼吸をした。
メガネを指で押し上げ、正面に座る私を見つめた。


「笙は、25歳で刑事を辞めた…と言いましたよね?」
「はい」
「その辞めた年に、ある事件があったんです。笙が担当した事件がね。更科さんは当時、笙を指導する立場でした。一緒に行動していた人です」

主任が…更科さんと担当した事件。

何だろう。


「それから笙は、ずっと自分を責め続けているんですよ」
「責めてるって…」

主任に何があったの?


「笙は…今も責めています」

家紋さんは、ため息をついてうつむいた。
そして、ぼつりと言った。


「自分は、人殺しだと…」



主任が………人殺し?
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