丸腰デパート・イケメン保安課
「さすが元祖はみ出し刑事!」
「元祖?!はみ出してねぇよ!」
「でも、たまにスーツのポケットから裏地がはみ出してるよと幸子が…」
「幸子って誰だよっ?!」







警察署を出た二人は、まっすぐ香奈の家へと向かった。

「こうなったら、香奈ちゃんに直接黒岩を拝んでもらうしかねぇ…可哀相だが」



香奈の家へ着いた二人は、両親に事情を話した。
事は急を要する、香奈の協力が欲しい。

「…その事なんですが」

香奈の母親は言いずらそうに…いや、更科と笙から目を背けて言った。

「私達は、犯人逮捕はもう望みません…」
「………はい?」

更科と笙は、耳を疑った。
犯人逮捕を望まない?
どういう事だ?
あれほど怒りをあらわに犯人逮捕を叫んだ母親の口から、望まないという言葉が出たのだ。

「どういう事っすか?米田さん」
「どうもこうも、もういいんです!これ以上は香奈が苦しむだけですから!」
更科と笙は父親を見た。
香奈の父親は、うつむいたまま拳を握りしめている。

何かあったな…更科の勘が感じ取った。

笙は、両親の後ろで小さく身体を丸めて座る香奈に視線を移した。
無言でうつむき、笙達を見ようとしない香奈…。
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