丸腰デパート・イケメン保安課
そんな二人を他所に、事態は変化した。
午後9時頃、署に通報が入ったのだ。

女性が、ホームに入る電車の前に飛び込み、自殺したと言う通報だった。


亡くなった人物は……米田香奈…わずか15歳の少女…。




笙と更科は、署内にて訃報を聞いた。

「忘れたいって…こういう意味か!!」

更科は、握りしめた拳を何度もデスクに打ち付けた。

昼間来た香奈に感じた違和感…こういう事だったのか。

「馬鹿な事しやがって!死んでどうすんだ!」

我が娘なら…考えると悲しい、悔しい…感情は高ぶるばかりであった。


「俺のせいだ……」

デスクに顔を伏せたままの笙の声に、更科は打ち付けていた拳を止めた。

「早く…犯人逮捕できなかったから………」
「東…お前のせいじゃねぇ」

誰かのせいにできるなら、黒岩を恨みたい。

「違う、俺……俺が香奈ちゃんを…殺した」
「東!!」

更科は笙の肩を掴み揺さ振る。
揺さ振り、手を止めた。笙の肩が震えている。

「自分が許せない…刑事なのに!俺は刑事なのに…」

笙は泣いていた。

デスクに顔を伏せ、静かに肩を震わせ…笙は泣いていた。

怒り、悲しみと後悔…香奈の苦しみ…。
< 171 / 382 >

この作品をシェア

pagetop