丸腰デパート・イケメン保安課
「お待たせ〜!!」


明るい声に正面の道路を見ると…栗田さんがワゴン車の運転席から手を振っていた。
助手席には家紋さん。


「今年は人数増えたからさ!でかい車を用意したんだ」

二人が乗って来たのは、12人乗りの新型ハイエースのバンだ。

「レンタカーですか?」
「ううん、買った!」
買った?!旅行の為に?!

…高いよね?この車…。

ああ、そっか。
すっかり忘れてたけど…この人達は金持ちだったんだよね。

つい忘れちゃうんだよ、みんな庶民的だから。


「でもこれって、普通免許じゃ運転できないんじゃ?」
普通に栗田さんが運転してるけど?
「大丈夫!免許あるから。俺、幼稚園バスも運転してたからさ」

ほらね?こんなだから金持ちだって忘れちゃうんだよ。

「免許なんざノリで何とかなる!早く出発するぞ!」
「ノリで何とかなるなら免許も法律も警察もいらないだろ!」

元刑事のくせに、何て暴言吐くんだ!主任は!



運転手は栗田さん、助手席には千太郎くん。
後部座席には眠り始めた昴さん。

みんながそれぞれ席に着き、松茸狩り旅行は始まった。


どうか、無事に生還できますように!
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