丸腰デパート・イケメン保安課
「嘘だ!!」
鶴滑が叫んだ。

嘘じゃないだろっ!!事実だ!

「今年の春…受験に落ちて凹んでいる僕にケーキをくれたじゃないか」

はぁ?ケーキ?
そんな物やった覚え……。


あった……。

「…あれ…かな?」
「やったの?ケーキ」
貢さんが聞いてきた。

「春、就職が決まって…自分へのお祝いに9号サイズのケーキを買って来たんですけど食べ切れなくて…」
「で、鶴滑にあげちゃったの?」
「はぁ…まぁ…」

捨てるのもったいなくて。

「馬鹿綾美っ!!」
はぁ?いきなり馬鹿呼ばわりされた!

「餌なんか与えればついて来るのは当然だろうが!」

餌?ついて来るって?!
犬猫の時限かっ!ストーカーだってあんたが言ったんだろ!

それにあの時は就職決まって浮かれちゃってたしさ…。
ついて来るなんて思わなかったんだもん!

「僕はストーカーなんかしてない!綾美さんの警護をしていただけだ」
警護?いや、鶴滑に頼んだ覚えないから!

「綾美さんを守れるのは僕しかいない!」

妄想!やっぱりストーカーは妄想者なんだ!

「思い上がるな小僧!」

主任が叫んだ。
そして鶴滑の前に立ちはだかる。

「綾美が怖い思いをしたんだぞ!」
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