丸腰デパート・イケメン保安課
「うるさいっ!ならば課長が二足歩行すれば問題ないだろうが!」
「猫が課長職って時点で問題なんですよっ!」


私と主任は、息を切らしながら睨み合った。

譲れん…。
この男…普通じゃない!


「おお…活きのいい新入社員だな。東と対等に渡り合ってるじゃないか」

昴さんが、おもしろそうに笑う。

あんたも笑ってる場合か?!


「とにかく…なぜ猫が課長なのか、説明して下さい!」

聞いても納得できないとは思うけどね。

「このっ…株主総会の諜報員か?」
「か?って?!聞かないで下さい!訳わかんないボケされたら突っ込みしづらいじゃないっ!」

って、何をボケ期待してんの?!私!


「まぁ、落ち着いて桜田さん…話を聞いて下さい」

家紋さん?

家紋さんは深刻な表情で私の前に立った。
軽く指先で眼鏡を押し上げると、見上げる私の左肩に手を置いた。


「…捨てられていたんですよ」

はい?

「雨の中…お腹を空かせて泣きながら…震えながら…」

課長が捨て猫だったって話?
それはまぁ…有り得ない話ではないけど。

「それが課長職と何か関係が?」
「最後まで聞いて下さい」

う…そんな切ない瞳で見ないで下さい。
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