丸腰デパート・イケメン保安課
しかも、マジで包丁持ってるし!

「家紋さん!気をつけて下さいよ!」
「大丈夫ですよ」
メガネを指で押し上げ、家紋さんが鬼婆と向き合う。

『では…ジャ〜ンケ〜ン……』

鬼婆が包丁を握りしめ、家紋さんは腰を下げて構える。

ジャンケン…だよね?


『ポ〜〜ンッ…チ!』

今!チって言った?


それどころじゃない!

本田の号令で、鬼婆の包丁が家紋さん目掛けて振り下ろされたぁっ!

「っ!家紋さん!!」

思わず両手で目を覆う!


「真剣白刃取り!」


…………え?


そっと両手を降ろした私の目に映ったのは、包丁の刃を片手で受け止めてる家紋さんだぁ!

「司は、剣道師範もできる段持ちだからなっ!」

マジ?!かっこいいっ!

『む〜…この若造がぁ!』
包丁を抜き取ろうとしている鬼婆の前に、家紋さんが左手を差し延べる。

何をする気?

その手を軽く握り、家紋さんは微笑してるけど…。

「行け――!司さん!」
どこに?!


……―――ポンッ!


次の瞬間、家紋さんの左手からは…赤い薔薇の花が…?


『………なんじゃ?』

鬼婆はしかめ面。
ついでに私は不思議顔。

何?何で今手品を?
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