丸腰デパート・イケメン保安課
薔薇を鬼婆に差し出しつつ、家紋さんは…にっこりと…。

「あなたの様な人生の年季を重ねた女性には、鮮やかな赤い薔薇こそが相応しいですよ」


……何ですと?


『あ…あらあら…まあぁ!』

鬼婆が包丁を落とし、薔薇を受け取ってるぅっ!

しかも目が…家紋さんを見上げる目が!恋する少女の様だ!


鬼殺しの微笑かああぁっ!!


「ノックアウトだ!」
栗田さんが叫んだ。
「今のはノックアウトだろ?!本田!」

ノックアウト?

「鬼婆は外野行きだ!今、司が奴の心に球をあてた!」

そういう意味かあっ?!


『仕方ないですねぇ』
本田はため息をつき、しぶしぶ鬼婆に外野行きを命じた。

薔薇を胸に抱き、内股で小走りに外野へ行く鬼婆を見つめた。

こんなんアリ?!

…まぁ、入社式で私も家紋さんのあの微笑に見とれたから…何も言えないが…。

ドッヂなのか?これは。


「でかしたぞ!司!」
「ホテルのスウィートルームまで行く必要が無くなり、安心しました」

セッティングしてたのかぁ?!

「スウィート、予約してあるなら俺が行くぞ?綾美と」
「行かないよっ!馬鹿!」

何言ってんだよ!
ドッヂに集中しろよ!
< 298 / 382 >

この作品をシェア

pagetop