丸腰デパート・イケメン保安課
「つべこべ言わずに死ね!妖怪!」
『死ぬのは人間!貴様の方じゃ!』

まだ言い合ってるし…。

「馬鹿野郎!俺が死んだら綾美はどうなる?!」

どうもしないと思う。

『うるさい!早くボールを投げろ!』
「投げて下さいじゃないのか?それが懇願する態度か?」
『誰が人間に頼むか!』
「人間人間とうるさいぞ!好きで人間に生まれた訳ではない!」

どんな買い言葉なんだ?!


「…あ、あ!主任!」

ヒートアップした主任の手からボールが落ちてる!
気付かないのか?!

ゆっくり転がるボールはコートの外に…出ちゃいそう!

「家紋さんっ!ボール!」

呼び掛けに、家紋さんが本から顔を上げた。


「何ですか?今いい所なんですが」
「こっちはヤバイ所なんです!主任がボールを離しちゃったの!」
「え?…ああ」

気付いた家紋さんがボールを止めてくれた。
安心したぁっ!

「まったく、笙は何をしているんだか…」

それはむしろ、私が家紋さん達に言いたいよ?


ボールを手に持った家紋さんは、妖怪と口喧嘩する主任へ歩み寄ってく。


………ポン。


「アウトですよ」


家紋さんが口喧嘩中の化け猫にボールを当てたぁ!
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