丸腰デパート・イケメン保安課
力いっぱい言い切った。


「もう帰るんですか?」
「スタンプラリーはまだ先があるよ?」
「俺はまだ魔球を出し切っていない」

お前ら!いい加減にしろっての!


『帰れませんよ〜?まだドッヂも終わっていないのに』

くそっ!本田の奴め!


こうなったら奥の手だな。
あまり出したくないんだけど。


「主任」
「何だ?」
「本田に交渉してくれませんか?ドッヂが終わったら帰るって」
「え〜?やり足りないじゃないか」

何がだよ!

「……早く帰れたら、雑炊作ってあげるから」


主任の好物なんだよね。


「雑炊……それは本当かっ!綾美!」
「うん、だから交渉して」

雑炊くらいで異空間から脱出できるなら安いものだよね。

それに、妖怪に意見を押し通せるのは、妖怪以上にめちゃくちゃな主任以外にいない!


「任せろ!交渉なんて生ぬるい!」

生……!
大丈夫か?!

「吉報を待て!イタリアンにスウィートに添い寝、そして雑炊の為だ!」
「?!添い寝とスウィートは無いよっ?!」

どこから増えて出てきたんだ?!


雑炊につられた主任。
勇んで本田に歩み寄ってく。


「おい!キツネ!」
『何です?』
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