丸腰デパート・イケメン保安課
「そう怒るな、綾美。俺が本田を教育する」

あんたがしてもらえよ。


『一体何を言いたいんですか?みなさんは。交渉とは何です』

本田の方が理解力あるな。

「早く帰りたいんだよ」
主任はあてにならないから、本田に直接言ってみた。

本田はヒゲをピクピクさせながら腕を組む。
『帰りたいと言われましてもねぇ〜。ルールがありますから。妖怪には妖怪のね』

…妖怪性に触れた様な説明で、何を最もを装ってんだよ。
所詮、お前が作ったルールだろ?


『命の味見もまだですし』

それが本心かっ!!

「…桜田さん」

膨れる私を家紋さんが手招きで呼んだ。
何?

「何ですか?」
「これを…どうぞ…」

周りを伺う仕草で、家紋さんは何かを私の手に握らせてきた。

何だろ?


手の平をそっと開いてみた。

「…………」

は?


「何ですか?これ」
「笙の命のスペアです」
「スペア?!」

違う!!
私の手の中にあるのは人形焼だけどっ?!


「神式では、ヒトガタと言う物がありまして」
「だから!人形焼だっつってんじゃん!」

確かに人の形と書くけどさ!

「これで本田と取引しましょう」

いくら妖怪でもバレると思う!
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