丸腰デパート・イケメン保安課
食べれば美味しいけど…いくら何でもキティちゃんの人形焼を主任の命と言って渡すのはどうよ?

「でも、私に渡されても困るんですけど?」

交渉なんて無理。

「家紋さんが取引して下さいよ」
「僕は嘘が苦手なんです」

すでに、それ自体が嘘じゃないの?

「じゃあ栗田さん」
「え?俺?」

人形焼を差し出した私に、栗田さんは首を振った。

「俺、人形焼はカスタードクリームじゃないとさ」
「…誰も食べてとは言ってませんよ」
「主任に頼んでよ〜」
「できると思いますか?」

私は、本田に四文字熟語の解説をしている主任をチラ見した。
あれを止める事は無理!
熱中してる時は、いつにも増して話聞かなくなるもんね。

「妖怪は昴さんの専門でもあるんだから昴さんに頼めば」
「そうしたいよ!この場に居ればね!」

居ないから言ってんじゃん!

「うん、昴に頼むのが一番いいですよ」
家紋さんまで!

話通じない!

「確かにね!昴さんが適任ですけど!」
「何が適任なんだ?」

今更何言ってんだよ!

「何度も言ってんじゃん!ここを出たいって!」
「出たいのか?桜田」
「出たいに決まってるじゃないの!」

って誰だよ!
マヌケな質問する奴は!
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