丸腰デパート・イケメン保安課
「どこに行くんだ?」

主任はのんきに聞き返しながら戻ってくる。

いや…主任…じゃない?


「きゃあああっ」
「どうした?!綾美!」

どうしたもこうしたも無いよ!

主任……ゾウになってるよぉ?!


長い鼻を揺らしつつ、大きな耳をうちわバリに振る主任。
80%くらい動物化してんじゃん!!

信じらんない!!

変化する前にと考えた矢先にコレだ!


「完全変化まであとわずかだな、東の奴」

何ぃ――?!
そこまでこの世界に慣れたのか!

「あはははっ!主任〜!ゾウだニャン!」
「ああ!何か知らんが成長したらしい」
「人間の成長ではないだろ?!」

不信感は無いのか?!
もういっそ、この世界の住人になっちまえ!


「何をやってんですか!順応しすぎ!」
「世界は一つ!境界線は無い!ノーボーダーだからな!」
「人間と妖怪のボーダーくらいは引いとけよ!最低限の理性だろ?!」

馬鹿じゃないのっ!!
誰よりも早く変化しやがって!

何でいつも主任は事態を悪化させるんだ!
しかも予想をはるかに越えて!


もはやゾウの着ぐるみと化してるじゃないか!
連れて帰りたくなくなる!

「怒ってる場合ではないぞ?桜田」
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