丸腰デパート・イケメン保安課
シーツを頭に被り直しながら、昴さんが呟く。

「早急に出ないと、東はゾウになる」
「…マジ?」

さすが保安課!
有り得ない展開にかけては最強!
次から次へと不可解な問題を提示してくれて!

「笙がゾウになられるのは困る」
家紋さん?
あなたもパンダ化しつつあるのも忘れないでね?
「笙がゾウになると、マンションの床が抜けそうだ」
「困るのはそれだけ?!」

私は、ゾウになりかけた主任を見つめた。
本田と栗田さんの拍手の中、鼻でボール曲芸してるし。

いっそサーカスに売ってしまう?


「とりあえず現実に戻るか…腹が減ったしな」
そう言った昴さんは、地面に屈み込む。

何やらゴソゴソと地面をまさぐり……。

「お、あった」

ギギギ――…。

「?!」

地面に床下収納チックな蓋がっ?!

「非常口だ」
「これが?!」

非常時に使用するわりには何て隠し扉的な!


中を覗くと、細い梯子が暗闇に続いてる様に見えるんですが?

「帰れるの?」
「保安課オフィスに続いている」
本当に?すっごい不安!

でも…。

思わず息を飲んだ。
行くしかないね?


「主任!栗田さん!帰りますよ!」
本田と遊んでいる二人に叫ぶ。
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