丸腰デパート・イケメン保安課
「1番困ったのは、幼稚園の母の日の似顔絵だったな!笑ってる母の絵を描けと言われたが…義母の笑顔は知らんし、実の母の顔もよく思い出せなくてなぁ…仕方がないからミッチーの妻の顔を描いた!」

言いながら、主任は笑う。
いつもと変わらずに。


「…………」


…私、主任は幸せな家庭で育てられたんだと、勝手に思い込んでた。
いつもめちゃくちゃだし、楽しそうだし、自由気ままだし…。

幸せなんだって。


お金持ちの家で、欲しい物も愛情もたくさん受けて育ったんだなって。


違うんだ…私が思ってただけなんだ。


愛人の子供……。

世間では、不義の子と言われる様な……。


義母からも、義母兄からも疎まれて…。


そういえば家紋さんが言ってた。

(笙はああ見えて苦労してますよ?大人の顔色を伺う子供でしたからね)


あれは、こういう事だったんだ。


刑事時代の出来事だって以外だった。

今もそうだ……。


信じられない自分がいる。

冗談なのかって考えてる自分がいる。


何か嫌だ。

そう考えてる自分が嫌。

主任の言葉を信じてない訳じゃなくて…。


対応できない自分の未熟さが嫌だ。
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