丸腰デパート・イケメン保安課
先手で却下するに限る!
どうせろくな事じゃないに決まってるし。

「くそっ!綾美がそのつもりなら…俺はテレビのリモコンの電池を抜く!」

何言ってんの?

「困るのは主任じゃない」
「俺は困らん!なぜなら、テレビの前まで行き直接操作すればいいからな!…面倒だが」
「困ってんじゃん!」

新年早々相変わらずだな。






雑煮を食べた私と主任は、正月らしく近所の神社に初詣でに出掛ける事になった。

テレビも正月特番ばっかでつまんないしさ。


Pコートにマフラーを巻いた私に対し、なぜか対抗意識を燃やした主任は…ランニングシャツに首にはネックウォーマー姿で部屋から出て来た。


「何考えてんのっ!」
「完全防寒を考えた!」
「どこがどう防寒?!」
「首だ!自分への思いやりだ」
「過度に中途半端すぎる思いやりだな!!」


一緒に歩きたくねぇ――――っ!!


主任のクローゼットから、グレーのセーターと黒いコートを出して無理矢理渡した。

主任はブツブツ言いながら着た。

普通に服あるんだから普通に着ろっての。




神社は結構混んでいた。

境内には参拝客が並んでいて、私と主任もその列に加わる。
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