丸腰デパート・イケメン保安課
境内に張られたテントでは、赤い袴姿の巫女さんがお札やお守り、破魔矢を販売してる。

出店も出ていて、家族連れとかが並んでた。

私達の参拝順番が来て、賽銭箱にお金を入れて手を合わせる。


私の願いは一つ。


(今年は保安課の変な展開に巻き込まれませんように)

これしかない!

異次元に迷い込んだり、悪魔が来訪したりしないように!



ガランガラン――。

主任は面白そうに鈴を鳴らしてる。

ガランガランガランガランガラン……。

「…………」

ガランガランガランガランガランガランガラン――!


「主任!鳴らしすぎ!」
「108つ鳴らすんじゃないのか?」
「それは除夜の鐘!」

人間の煩悩の数らしいけど、主任の場合は108つじゃ足りないかもね。


つまらなそうに鈴から離れた主任は、次にお守りに興味を持ったらしい。


「恋愛運に効く物はないか?」
巫女さんに聞いてるし…。
しかも恋愛かよ。

「恋愛なら、こちらのお守りはいかがですか?」
巫女さんが差し出してくれたお守りに、主任は不信気味。

「本当に効くのか?」
自分で聞いたくせに。
大体恋愛ってさぁ…普通にしてりゃモテるから心配するな。
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