丸腰デパート・イケメン保安課
確かに、主任に胸がドキドキする事もある。

風邪でお見舞いに来た時もそう。
ストーカーに追われた時、真っ先に主任に電話してた。
主任は来てくれるって信じちゃってた。
誕生日プレゼントも嬉しかった。

プレゼントよりも、主任が私の為にって買って来てくれた事が嬉しかったんだ。

でも…わかんない。

私にはまだ、わかんないんだよ。

嫌いじゃない、どちらかと言えば…好きだよ?
でもそれは、保安課のみんなに対する好きと同じかもしれない。

違うかもしれない。

ホントにわからないんだ。

主任は、タコ焼きを食べながら私の返答を待ってくれてる。
肝心な時は、自分のペースを押さえて、私に合わせてくれる。

そういうトコにも、ドキドキするんだ。

綺麗な顔にドキドキじゃなくてね?

男らしいって思ってるんだ。


「主任」
「ん?」
呼び掛けに、主任は顔を上げた。

「私ね、わかんないんだ…主任を好きかって聞かれると、わからないんだ」
「そうか」
「好きか嫌いかなら、好きと言えるけど…恋愛かどうかはわかんないんだ」
「そうか」

主任は笑ってくれた。
屈託なく、いつもと変わらずに。

なのに…中途半端だ、私。
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