丸腰デパート・イケメン保安課
「大丈夫だよ、桜田さん」
「大丈夫、大丈夫!」
「問題は無い」

家紋さんに続き、貢さん、栗田さん、昴さんが笑いながら入って行ってしまった。

…どこが大丈夫と?


「ホラァ、綾美!あいつらも言ってるじゃないか。大・丈・夫ってさ!」

主任に、敏腕課長の肉球を頬に押し付けられた。


だからどこが大丈夫なんだよっ!!
大丈夫と安心出来る状況に、ちっとも改善されてないじゃん!!


「とりあえず中に行こう!そんな所に立っていると、妖怪・パン職人に混ぜられてこねくり回された揚げ句、財布を抜き取られて街中に捨てられちゃうぞ?」

なぜに妖怪の話?!
しかもパン職人?!

街中に捨てられるのかよっ!
財布取るって…ただの犯罪者じゃないか!!


意味不明……。


「なっ!綾美」
満面の…眩しいくらいの主任の笑顔。

こいつ…!

ホンットに!顔と身体だけはいいんだよなぁっ!!

中身を知らなければ、結婚詐欺と知りつつ着いてく女性もいるんじゃないか?

この普通じゃない中身さえなけりゃ、理想のイケメンなのに…。


でも確かに、立ってるだけじゃつまんない…。
私は、敏腕課長を抱いたままの主任の後へ続いた。
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