丸腰デパート・イケメン保安課
栗田さんと貢さん、家紋さんにまでからかわれた猿股は、悔しそうな顔でコーヒーをすすっている。

って言うか、この人まだ私を諦めていないのかよ。


主任はどうなのかな。
諦めたかな。

私のバイバイに笑顔を返してきた主任。
あれはもう、私を諦めたって意味なのかな。

アメリカで新しい生活を始めたら、諦めるって言うより…忘れちゃうかな?

私の位置は今、主任の元・部下。
でも私は今でも、主任を上司だと思ってる。


…上司?


それだけ?


………わかんない。

わかんないけど、淋しいんだよ。


考えてため息をついた。

今は、主任が残した保安課で、できるだけの事をするだけだよ。

私にできるのは、それだけだから。








今日もいつも通りの業務が終わり、帰宅。
大体、帰りは家紋さんと一緒だ。

主任が居た頃は、一緒に帰宅していたけど。


マンションに帰ると、管理人室に荷物が届いているというメモがドアに挟まれてた。

取りに行く家紋さんを見送り、先に部屋に入る。


感知式の電気がつく。

ひんやりとこもった空気を追い出す為、エアコンのスイッチを入れた。


いつも通りだ。
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