丸腰デパート・イケメン保安課
「家紋さん、腹減ったから早く入りたいっすよ」
「ああ、そうだな。色占いをやっている場合ではないな」

色占い?!いつやってたの?!


無駄に広い玄関へと入る。
ここだけで、私の部屋よりも広いし…。


玄関の上には、三つ指を付いた和服姿の女性二人がお出迎え。


「お疲れでございました。司様」
「うん、ただいま」

へぇ…家紋さん、ただいまなんて挨拶するんだぁ。

料亭の常連さん?


…ちょい待て?

…ただいまって…普通自宅にて言うんじゃ?


「何でっ?!」
「どうした?綾美」

我に返る私に、主任が首を傾げる。

「今っ家紋さん!ただいまって言いましたよねっ!」
「それがどうした」
「ただいまって不自然ですよねっ!」
「普通だよ?ここは家紋さんの実家が経営している店の一つなんだから」


…ヘ?

どういう事?


説明を求め、貢さんを見る。

「家紋さんちの会社が経営してるんだよ、この店も」


…も?


「あとは、全国にある和装呉服ブランド店の“家紋屋”それと旅館経営もしてるけどね」

家紋屋…知ってるよ!
成人式の着物買ったよ!


マジかよっ!!

いや、気品がある人だとは思ってたけど…。
< 37 / 382 >

この作品をシェア

pagetop