丸腰デパート・イケメン保安課
「見えたんだ…」
「らしいですね…」
「初出勤早々にな…」


…何よ…何をコソコソ話してんだよっ!!
感じ悪いなっ!


「…出るんですよ、たまに」

押し殺す様な声で、家紋さんは言った。

「何がですか?」
「パンツ姿のユーレイが」

嘘つけええぇっ!!
そこまでしてごまかしたいんですか?!

「でも…皆さん普通にパンツと会話してましたよね?」
そうだよっ!楽しそうに会話してたじゃん!

「エ?知らないよ」
ジャニーズ系が惚けた。

「時代がどうの、いちご新聞がどうのって話してましたよ」
ジャニーズ系は顔をしかめた。

「僕…言ってたかな?」
「いや、聞いてない」
「俺も聞いてねぇ」


……あんたら。

「桜田さん、おそらくテンパってしまったのでしょうね」

私の見間違いと言いたいのか?


「ヤァ!諸君!お早う!」

場違いな明るい声がオフィスに響いた。

振り向くと、さっきのドアからスーツ姿の男性が出て来た。


「東(あずま)主任」
家紋さんが呼んだ。

主任?!

「新入社員が来るなんて…春だなぁ、ナァ?みんな!」


って…明らかにさっきのパンツ男じゃないのっ!!
何を爽やかに初登場の顔してるんだぁ?!
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