先生達、後で後悔してもしらないよ。
中山先生が“簡単だ”と言った問題。


その問題用紙に対する苦情がきた。
最初は…3年生の貴大の保護者だった。

貴大は授業中もずっとつまらなさそうな顔をしている。
他の教科の問題集などをやらないのはいいのだが。

授業中に問題を出して、貴大じゃない子を指名したとしよう。

その子が答えられないと
「こんな問題も分からないなんてバカだな」
と言ったりする。


貴大のお母さんは…英語の問題用紙を中山先生と教頭先生に見せた。

「こんな簡単な問題を1番大事な3年生の中間試験で出題されるとはどういうことですか?うちの子達3年生は受験を控えて、他の子よりも1点でも多く良い点をとろうと必死に勉強しているのです。それが…みんな100点をとれるような問題では…拍子抜けしてしまいますし、通知表もどれを基準にして決めるのですか?」

すごい剣幕だった。


「お母さん、落ち着いて下さい。成績の点数が同じだった場合、私たちは日頃の授業態度や提出物の出来などをみて総合的に判断して…5とか4とかの評価を決めるんです」

教頭先生が静かに言うと。中山先生も

「貴大君は…授業態度も真面目だから5は間違いないですよ」
と言った。

中山先生の“5”という言葉に安心したのか、貴大の母親は

「今度は高校受験に役立つような問題をお願いします。うちの子、今年も英語は中山先生にみてもらいたいって、あんなに楽しみにしていたのに…こんな新任の先生でイヤだと言っていました」
と私を軽蔑した目で見ると。
会議室を出て行った。

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