先生達、後で後悔してもしらないよ。
期末試験が終わり、答案用紙も返却した次の英語の授業。

「今日から夏休みまでの英語の時間は…1学期の復習をします」

そう言って、私はプリントを生徒に配りだした。

「先生!1学期の復習は塾でもたくさんあるので、次の単元に進んで下さい」

海人が言った。

「こんなプリントは意味ない!!」
海人はもらったばかりのプリントをビリビリと引き裂いた。


腹がたった。
でも、ここで海人を怒れば、また母親が出てくる。

私はなるべく、優しい声を出して
「塾でも1学期の復習をするかもしれないけれど…学校でも復習しよう。2学期になれば…いろいろな表現が出てくるから1学期の基礎はしっかりしておいた方がいいし。それに…クラスの中には塾にも行ってない子もいるからね」

「あーぁ。塾にもいけないなんて、かわいそう。塾にもいけないなんて、そいつんち、どれだけ貧乏なんだよ」
海人が偉そうに言った。

その日。
私は海人を怒らなかったせいで、何をしても怒らない先生と認識されるようになった。

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