マイノリティー・レポート
「慈月の行方を知らないかい?」とうさんは公園の滑り台に聞いた。
滑り台は「近頃、僕と一緒に遊んだことはないね」と答えた。
とうさんが滑り台に触ると確かに慈月が残したぬくもりがない。
とうさんは仕方がなくブランコの方へ歩いていった。
ブランコにも同じように「慈月の行方を知らないかい?」と聞いた。
ブランコに乗っていた花ちゃんが楽しそうに笑っている。
ブランコは花ちゃんと夢中で遊んでいるらしくとうさんの言葉を聞いてはくれなかった。とうさんは、隣のブランコを掴んで、ブランコの支柱にその座席を縛り付けてやった。
「これでもう満足にあるけまい!」
とうさんは花ちゃんにバイバイを言ってその場を離れた。
「どこに言ったんだろう」と公園中を歩き回っていると、夕焼けに染まる木枯らしがとうさんのところにやってきて「砂場じゃないの?」とか「シーソーに乗っていたよ」と教えてくれた。
別の木枯らしは「花壇で見かけたけど、ミツバチに誘拐されたんじゃない。慈月ちゃんは可愛いから」といった。
とうさんは、だれかが作っていった砂場の上のお山のトンネルの中を覗き込んだ。
「おーい。慈月?」
トンネルにとうさんの声が反響して響いている。
慈月の返事はない。
今度はとうさんは砂場のなかに慈月が隠れていないかと思って、穴を掘り出した。
ずっと掘り進むと地下世界の入り口があると聞いたことがある。
もしかしてと思ったけど、あんまり長い間、掘り続けていたから陽が暮れて夜になってしまった。
とうさんは体がすっぽり入るぐらいの穴からなんとか這い出して、また慈月を探し始めた。
滑り台は「近頃、僕と一緒に遊んだことはないね」と答えた。
とうさんが滑り台に触ると確かに慈月が残したぬくもりがない。
とうさんは仕方がなくブランコの方へ歩いていった。
ブランコにも同じように「慈月の行方を知らないかい?」と聞いた。
ブランコに乗っていた花ちゃんが楽しそうに笑っている。
ブランコは花ちゃんと夢中で遊んでいるらしくとうさんの言葉を聞いてはくれなかった。とうさんは、隣のブランコを掴んで、ブランコの支柱にその座席を縛り付けてやった。
「これでもう満足にあるけまい!」
とうさんは花ちゃんにバイバイを言ってその場を離れた。
「どこに言ったんだろう」と公園中を歩き回っていると、夕焼けに染まる木枯らしがとうさんのところにやってきて「砂場じゃないの?」とか「シーソーに乗っていたよ」と教えてくれた。
別の木枯らしは「花壇で見かけたけど、ミツバチに誘拐されたんじゃない。慈月ちゃんは可愛いから」といった。
とうさんは、だれかが作っていった砂場の上のお山のトンネルの中を覗き込んだ。
「おーい。慈月?」
トンネルにとうさんの声が反響して響いている。
慈月の返事はない。
今度はとうさんは砂場のなかに慈月が隠れていないかと思って、穴を掘り出した。
ずっと掘り進むと地下世界の入り口があると聞いたことがある。
もしかしてと思ったけど、あんまり長い間、掘り続けていたから陽が暮れて夜になってしまった。
とうさんは体がすっぽり入るぐらいの穴からなんとか這い出して、また慈月を探し始めた。