マイノリティー・レポート
「シーソーの上でも探してみるか?」

とうさんは慈月はカラダが軽いし、髪も長いから、シーソーの勢いで空に飛び出して、どこかの雲にでも引っ掛かって降りてこれなくなったかも知れないと思った。

とうさんが慈月のお気に入りのシーソーに乗って上を見上げると、満天の星空が輝いていた。

綺麗な星空にすっかり慈月のことも忘れて見上げていた。

しばらくすると、「おとうさん、おとうさん」と呼ぶ声がする。

公園の入り口にかあさんの影が見えた。
かあさんの影の横には小さな影がひとつ。

かあさんが「何してるのよ、迷子になったかと思って、慈月と一緒にずっと探していたんだよ」と言った。

とうさんは慈月の顔を見た。
慈月もこっちを見ていた。

慈月が「こっ」と言って両手を広げて抱っこをせがんできた。
とうさんは左手で慈月の手を取って、右手でかあさんの手を取って、三人で手をつないで、家まで帰りました。


「こんなおとうさんで家族がつくれたのは、僕だけのことだろうか?」
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