サイケデリックトランスと俺
6年前
━━話はさかのぼる事6年前━━

季節は真夏の七月。
物語はここから始まる…。

裕輔「今日もあっちーな糞ったれ」

俺の名前は裕輔。
当時19歳だった俺は、仕事の為に実家を出て、地元から遠く離れた見知らぬ土地のパチンコ屋に就職して、住み込みで働いていた。
パチンコが好きだからこの仕事を選んだ訳ではない。

この店で働いていた友達に紹介されて、しばらく仕事もしてないし、パチンコ屋でもいっかな~くらいの軽い気持ちでここにきた。

仕事は朝番の時は朝の八時半、遅番の時は夕方四時半から出社する。

今日は早番の日だ。

俺は職場の制服に着替え、店の開店準備をしていた。


「今日も一日頑張ろうぜ!」


突然声をかけられふり向いてみると、そこには俺をこの店に誘った友人のリョウが立っていた。

裕輔「おいおい、朝っぱらから馬鹿いってんじゃねえよ…。なにが悲しくてたいした給料も出さねぇ、こんな店でマジメに仕事ができるんだよ…。だいたいにして頑張って仕事するほどこの店に客が来たことあるか?ねぇだろ?」

リョウ「確かにそりゃそうだ!頑張って仕事する程、客が来た事ないわ!でもまぁ適当に仕事は頑張ろうぜ!」

裕輔「適当に頑張ろうとか意味わかんねぇよ。まぁ頑張りたいならお前一人で頑張れよ?俺は頑張らないからさ」

リョウ「分かった分かった!お前は頑張らなくても良い!だけど開店準備だけはちゃんとしないとな?さっさと終わらせて、タバコでも一服しようぜ?」

裕輔「はいはい、分かりましたよ・・・」

リョウに急かされ、面倒臭いながらも仕方なく仕事を始めた。

リョウは無類のパチンコ好きだ。
それがこうじて、このパチンコ屋に就職したんだからそれなりに楽しく仕事をしていると思う。

しかし俺は違った。


リョウに誘われて、軽い気持ちでここに就職した俺に、鼻っからやる気なんてある訳がなかった。
パチンコやスロットに一つも興味がないんだから、仕事をしていても何の面白味もないって訳だ。

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